ぎっくり腰、ふたたび
三か月前にやったぎっくり腰が、なかなかすっきりしないので、
ネットで知った「ぎっくり腰体操」をやってみることにした。
膝に足を乗せ、指とかかとに手を添えて、足首をぐりぐりまわす。
内回し、外回し、各20回。これを左右の足で3セットずつ行う。
簡単な体操なので、3セットと言わずもっとやりたくなる。
治りたい一心で励んだ結果、不都合な事実を認めざるをえなくなった。
「ぎっくり腰体操」は、ぎっくり腰を「直す」のではなく、ぎっくり腰に「する」体操だったのだ。
再び寝込んだ。
あおむけになって本を読み、腹這いになってごはんを食べる。
苦心して右を向き、惨憺して左を向く。
「あれを持ってきて」 「美味しいものが食べたい」 「洗濯物を干せ」 「パ○ツを穿かせろ」
次々と注文を出す私に、家族は相変わらず、なまあたたかい視線を注いでくれる。
私の家族は、そう言ってはなんだが、頼りがいがないぶん、優しい。
温和、かつ、稀にみる謙虚な人として知られる私でさえ、わが家族の面々と比べたら、
ヒステリックなカモノハシにたとえられるほどなのだ。(ちなみに、あまり知られていないが、
この動物は見かけによらず、鋭い毒爪を持っている)
私のぎっくり腰アゲインの原因が、おのれを叱咤しつつ体操に励んだ結果だと知ると、
夫も娘も深い同情を示してくれた。「努力が裏目に出て可哀想に」と。
実は、こんな彼らに、決して明かせないヒミツがある。
たしかに、「ぎっくり腰体操」のやりすぎはまずかった。
しかし、もっとまずかったのは、その後の私の行動だった。
心ゆくまで体操をして、満ち足りた気分で目の前の座椅子にどすんと座り、ゲーム機を手に取った。
ん?――座り心地がいつもと違う。
お尻が窮屈な気がするけど、最近、太ってきたからしょうがないか。
でも、背もたれも、なんとなくしっくりこないなぁ……
違和感を覚えた時点で確かめればよかったのに、不精な性格が災いして、
床に足を突っ張った不自然な姿勢でゲームにのめり込んでいた。
そのうち、お尻に生じていた圧痛が、だんだん耐えがたくなってきた。
さすがに、おかしいと思って立ち上がった瞬間、ぎくぅぅぅ。
二つ折りになったまま、涙目で見下ろした先に、魔の座椅子があった。
こんな感じで↓
誤×
正〇
背もたれに座ってたなんて、言えやしないよ……。
by mofu903
| 2014-05-25 02:10
| 日常