カテゴリ:家族( 24 )


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寝起きの頭で、ふらふらしながら庭に出て、そよ風に揺れる花を眺める。

水遣りのついでに、テーブルに飾るための小さな花束を作る。

(朝の庭で、小鳥の声を聞きながら、テーブルに飾る花を摘むワタクシ♪)と、

脳内で自分の姿を著しく美化しているので、たったこれだけのことが、ほんのり幸せに思える。



今朝も、花盛りのオルラヤとローズマリーを摘んだ。

香りをちょっとかいで、うっとり気分でリビングに入ろうとすると、夫の興奮気味の声が響き渡った。


「もやし、消費期限が昨日だった!」


続いて、本体があたふたとやってくる。

呆然と立ちつくす私の前で、夫は、バッとオーバーアクションでサングラス眼鏡をはずし、

もう一度もやしの袋を確かめ、愕然とした表情になった。

「うわっ、おとといだった!」

ついで、私に視線を戻す。小っさい目には、悲壮感が漂っている。


「蕎麦も、昨日までだった……」

すっかり鼻白んで、「おはようぐらい、言おうよ」と言うと、

「だって~なかなか起きてこないから~」



私と違って早寝・早起きの夫は、早朝五時から暇をもてあましている。

私が顔を見せたら、蕎麦の一大事について報告しようと待ち構えていたところへ、

追い打ちをかけるように、もやしがイカレているのに気づいてしまい、一大事が二大事になって、

「おはよう」どころではなくなったらしい。

まるで、帰ってくるなり母親のもとに駆け寄って、「××君にいじめられた~」と言いつける小学生なみ

である。



色は似ているが、ストライプの太さも幅も明らかに違うスーツを、上下の組み合わせを取り違えて

着ていってしまうほど無頓着な夫だが、こと「期限」と名のつくモノに関しては、

つねに細心の注意を払っている。

この注意深さを、なぜ発言するときに活かせないのか、不思議でならない。



温泉と避暑地で名高い那須高原のお土産を持ってきてくれた友人に、

「あの有名な、『那須の猿岩石』を見ましたか?」

友人は、一瞬、あっけにとられていたが、夫の言い間違いに気づいたとたん、

笑いをこらえて悶絶しそうになっているし、私は脱力してしまって、

「それ、『★殺生石』だから」と、訂正する気にもなれなかった。




さっきも、「五本足ソックス専門の店があるんだよ。五本足ソックスも有名になったものだな……」

と、わけのわからない感慨に浸っていた。


確かに、夫は日頃、五本ソックスを愛用しているが。



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by mofu903 | 2015-05-27 08:38 | 家族
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夫の、特殊なこだわり(物を整列させたがる)については、前に書いたことがあるので、

読んでくださった方もおいでかもしれない。

しかし、その独自の几帳面さとは裏腹に、夫は、元来、えらく無頓着な人間であり、

それはおもに、言語面に著しい。

つまり、全発言のうち70~80%は、適当にしゃべっていると思われる。


たとえば――。

私たちがときどき利用する近所のカフェは、営業日が変則的だ。

しかも、やたら休みの日が多い。

「今日は、やってるかな?」

ひとりごとを言ったら、耳さとく聞きつけた夫が得意げに教えてくれた。

「カフェの壁に、やってるって書いてあったよ」


いやいや、さすがに、壁に書いてあったら落書きレベルでしょ。

【カフェのドアに、<open>の札が下げてあったよ】

と、夫は、そう言っているつもりなのだ。



こういうこともあった。

お盆の迎え火をたいたあと、水を撒いて後始末をしている私と娘を尻目に、

「じゃあ、お父さんは、先に家の中で、迎え火を焚いてるからね」


自分ちを火事にするつもりか。

ここは、【先に家の中に入って、お線香をあげているから】

と言うべきである。


「ゆうべのタベー、食べれるかな?」


と、問う夫の指は、カレーの鍋をさしている。

もちろん、

【ゆうべのカレー、食べられるかな?】が、正しい。



このように、夫にかかると、

カウチポテトは河内(かわち)ポテトになり、ポテトチップスはチップチョップスになり、

八百屋は野菜屋になり、KYは、YKKになる。


長年、適当にものを言われ続けていると、自然に脳内補完が行われて、夫が何を言わんとしているか、

すぐにわかるようになってしまった。

そのため、私と娘は、呆れたり面白がったりしながら、不都合を感じることもなく過ごしている。





だが、過去にさかのぼれば、不都合ありまくりの出来事もあった。

二十年近く前、私はパニック・ディスオーダー(パニック障害)を患っていた。

最近ではかなりポピュラーになった感のある病気だが、当時は、このカタカナの病名自体、

耳慣れないものだった。

幸い名医に出会えたおかげで、発作もほとんど出なくなり、いわゆる寛解状態になったころ、

義母の三回忌があった。


親戚、知人一同、車に分乗してお寺に向かうことになったが、パニック持ちのせいで

車が苦手になっていた私は、ひとりだけ電車で移動することにした。

無事に法要を済ませてから、会食の席にうつったのだが、みんなの私への態度が、

いつもと違う。いわば、腫物に触るようなのだ。

(体調を気遣ってくれてるんだな)と胸の内で感謝しつつも、常日頃、虚弱な嫁のイメージを

与えているので、名誉挽回のために、ここぞとばかり元気そうにふるまった。

しかし、テンションを上げれば上げるほど、座が白ける。

ことに、歳のいった伯母たちは、いつもの饒舌が嘘のように、終始うつむき加減で、

気もそぞろな様子だった。


そんなこんなで、家に帰ったらどっと疲れが出てしまった。

のろのろと喪服からスエットに着替え、お茶で一息入れてから夫に問うた。

「おばさんたち、ばかに気を遣ってなかった?私の病気のせいかな?」

夫、答えていわく、「大丈夫、行きの車の中でちゃんと説明しといたから」

「……ふーん?まぁ、それなら良かったけど」


「『ジャレさん、何の病気なの?』って聞かれたから、

パニック・デストロイヤーです』って教えたら、みんな、すごくびっくりしてたよ」



はぁ??

そりゃ、びっくりするだろうよ!

みんなは、私に気を遣っていたのではなく、嫁がいきなり暴れ出しやしないかと、

気が気ではなかったのだ。

さすがにこの時ばかりは、夫に四の字固めをかけてやりたくなった。




夫の適当発言は、一向に治まる気配がない。


今朝も、バッグに図書館の本をパンパンに詰め込んで帰ってきた夫から、

例の不定期営業のカフェについて、報告があった。

「壁のカペは、休みでした」


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by mofu903 | 2015-03-22 12:34 | 家族
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ジャージャージャージャー、

ザバザバザバザバ、

ジャージャージャージャー……


キッチンから聞こえてくる盛大な水音は、いっこうに止む気配がない。

夫が、ぎっくり腰で寝込んでいる私の代わりに皿を洗ってくれているのだが、

大事な資源の無駄遣いは一目(耳?)瞭然だ。

もちろん、水道料金も刻々と跳ね上がっていく。

「水、出し過ぎだよ~」と叫ぶも、作業に熱中している夫には、てんで聞こえていない。

(資源が~、ぐぬぬ、水道代が~!)

さながら、深夜タクシーのメーターをはらはらしながら眺めている気分だが、

痛めた腰に鞭打って「やめろ~」と声を振り絞りつつ這い出していく気力もないので、

無念さに毛布の端を齧るしかない。



普段の家事は私に任せきりの夫だが、今回のように、自らやらざるをえない状況になった場合は

徹底的にやってくれる。

有難いことは有難いのだが――すべての動作がいささか緩慢にすぎ、しかも、彼独自のこだわりを伴う。


その筆頭は、『モノを整列させる』ことだ。

「皿、洗っといたから!」と胸を張って言うだけあって、トレーの上には、洗い終わった食器が、

大物から小物に至るまで種類別に分類されて、ビシッと等間隔・同方向に並べてある。

確かに、見た目は美しい。

が、このように完璧な配置に彼が集中している間も、恵みの水は出しっぱなし。

「こまめに蛇口を閉めて!」と、何度言っても直らないから、水道料金も私の血圧も、

ひたひたと上がっていくわけだ。





主婦が寝込むと、三度の食事の支度が一番気になるところだが、さすがの夫も、(以前書いたように)

『今日の晩ごはん、なんですか?』とは、聞きに来なかった。

手料理こそできないものの、普段のものぐさは影をひそめ、お弁当や総菜を買いに走り、

手回しよく宅配を注文し、こと食に関しては、獅子奮迅の働きを見せてくれた。

しかも、本人は、「おかずは、これさえあればいい」というくらい魚の缶詰が好きなので、

具合の悪い妻に面倒をかけず、愚痴も言わず、プルトップ缶をパコッと開け、パックご飯をチンして、

黙々と食べている。

栄養面での是非は措くとして、そんな手のかからない頼もしい夫を好ましく思っていた。



話は変わるが、私の居住区では、ごみは各家庭ごとに容器に入れて、

自宅前に出しておく決まりになっている。

共同の集積所とごみボックスが廃止されて、このシステムになったときは、

住民から不満の声も上がったが、いざ実行されると、周辺が散らからず、衛生的でとても具合がいい。

資源ごみの収集は毎週行われるが、ビン・缶の類は、ある程度の量がまとまってから出すことにしていた。





さて、ようよう起き上れるようになった私が、朝、庭を眺めていると、

「ママ、見て、お店だよ!」

家の前で、嬉しそうな幼児の声がした。

「ホントにお店みたいねぇ」と応じたお母さんの声も、笑っている。


このあたりは100%住宅街で、店はない。

(ご近所さんが、今はやりの、隠れ処レストランでも始めたのかしら?)

野次馬根性に駆られて、痛い腰を屈めてそろそろと門まで出て行くと――



ぴかぴかに洗われた魚の空き缶(1.5ヵ月分=約40個)が、平たい段ボール×2に収まって

ごみ収集車を待っていた。


それだけなら、なんということもないのだが……ご丁寧にも種類別に分けられて、

3個ずつの、つまり、「2個を土台として上に一個乗ってる」組をつくり、

さらに、その3個組が、きっちり等間隔に並んでいる。

その目立ちっぷりたるや、まさに「お店」。もはや、ディスプレイの域に入っている。

誰がやったのかは、容易に察しがついた。

サバ味噌、サバ味噌、サバ味噌。シーチキン、シーチキン、シーチキン。鮭水煮、鮭水煮、鮭水煮。

さんまの蒲焼、さんまの……以下略。



『うほほ。ここのお宅、魚缶ばっかり食べてるみたいね』

『ふむふむ。よっぽど料理下手な奥さんなんだろう』

通行人の心の声が聞こえるような気がした。

いつもの私だったら、

①速攻で空き缶ディスプレイを崩し、②ガレージからゴミ用バスケットを持ってきて、

③腹立ちまぎれにガシャガシャと入れ替えた、はずだ。


しかし、手負いの身にはその体力も気力もなく――

瞬時のためらいののち、逃げるようにその場をあとにしたのだった。

ぎっくり腰患者に可能な限りのスピードで。








腰痛持ち必携・腰ベルト~(笑)
今まで何本か試したのですが、今回買ったこれが、一番具合が良かったので、ご参考になれば^^
上下二本のベルトで締めますので、体形に合わせて調節がきき、ほとんどずれません。
締め心地はソフトですが、サポート力は結構あります。


お医者さんのコルセット《プレミアム仕様》 (amazon通販)
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by mofu903 | 2014-06-01 10:29 | 家族
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(そうかな?違うかな…?)

スーパーで野菜を選んでいる男性を、ちら見していたら、目が合ってしまった。

とっさにフレンドリーな笑顔を作り、「こんにちわぁ。お買い物ですかぁ?」

相手は、一瞬、視線を泳がせたのち、また下を向いてしまった。

レジ籠にレタスを一玉放り込むと、足早に去っていく。


うっ……。その場にくずおれそうになる私。

(また、やっちまった。別人だった)


人生で何度もやってきた失敗なのに、まだ懲りていない。

人さまの顔を一度や二度見ただけでは覚えられないのが、私のたったひとつの弱点だ。

だからといって、四六時中、人違いしているわけではない。

ご近所のみなさんに、「おはようございます!」とか、「こんばんは!」とか、

自信満々に挨拶できるときだってあるのだ。

その人が、その人の家の前に立っている時限定だが。


(顔見知りなのに、挨拶もしない無礼者)と思われるより、人違いで胡乱な顔をされるほうが、

まだましだろうと思っているので、(突然、見知らぬおばさんに挨拶されて驚いた方々には、

この場を借りてお詫びします)これからも私は、とんちんかんな声がけをし続けるだろう。



夫は、こんな私に輪をかけて、とんちんかんだ。とんちんかん大賞をあげてもいい。

人さまの顔はだいたい記憶に残せるようだが、モノの形に関しては、

「冗談でしょ?」と言いたくなるほど識別できていない。


三年ほど前まで、夫は「自分の」ご飯茶碗の形状が、おぼろげにしかわかっていなかった。

食事時、忙しくてヒステリーを起こした私が、「ごはんくらい、自分でよそってっ!」と怒鳴ると、

夫は、すてすてと食器棚に向かう。

そして、シンプルな問いを投げかけてくる。

「私の茶碗、どれですか?」

どっちもおなじ藍色の、自分の茶碗と息子の茶碗の区別がつかないのだ。

一つは松竹梅、一つは縞模様であるにもかかわらず。


息子が別に住むようになったので、この問題は解決をみた。

さすがに、私や娘の茶碗(黄色い花模様、ピンクのうさぎ)とは、区別がつくらしい。ほっとした。



が、先日、またしても驚かされることがあった。

おでんを作ろうとしてこんにゃくがないことに気づき、ちょうど出かけるところだった夫に頼んだ。

無事、到着したこんにゃく。

たまには、手間をかけたように見せようと、切れ目をいれて端をくぐらせ、<手綱こんにゃく>にした。


まな板の上に並べておいたら、「これ、何?」と、興味深げに聞くではないか。

「さっき、買ってきてもらったじゃない。こんにゃくだよ」

「そうだっけ?…四角いやつを買ったような気がしてたけど」


目玉、ポーン  (  Д ) ゚ ゚


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こんな夫と私の間に生まれた娘も、結構すごい。

とんちん界のサラブレッドだ。



大学に入ってひと月ばかり経った頃、

「学部に、小学校で同じクラスだった○山君によく似た人がいるんだよね」と言い出した。

「ふーん、それじゃ、本人かもよ。聞いてみたら?」

「めったに遭わないし、もし、違ってたら恥ずかしいよぅ」


しばらくして、また言い出した。

「やっぱり、そうなのかなぁ。今日も見かけたけど、○山君にそっくりだった」

「ふーん」

「今年入った人の名前が載ってる、新入生一覧っていうのがあってね」

「じゃ、その一覧とやらを見れば、わかるでしょうよ」


「見た。○山△太って、同じ名前の人がいた。でも、ほんとにそうなのかな?」


…………はぁ??
目玉、ポン!ポン!ポーーーーン!!

ポーン(  Д )...。....。コロコロ



どんだけ、自分の記憶に自信がないんですか?
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by mofu903 | 2014-02-05 00:54 | 家族
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去年★キジバトの鳴き声について書いたことがあるが、今春また、新人(?)がデビューした。

妙にくぐもったガラガラ声は、まぎれもなくキジバト特有のものだが、明らかにテンポが異なる。

通常のキジバトの鳴き声は、デデッ・ポーポーという2音節になるはずだ。
    
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(wikipedia)

しかし、今年の新人は、デデッ、デデッ、デデッという、息せききった鳴き方をする。

そして、このデデッが、「キアイダ」に聞こえる。


起き抜けだったから、まだ脳がぼんやりしてるのかしらと思い、

頭をぶんぶん振ってから再び耳を傾けたが、やっぱり、

「気合いだ!気合いだ!気合いだ!気合いだ!」

と、連呼している。


あとから、のたのた起きてきた娘に、この出来事を報告したが、「テレビの影響でしょ」と一蹴された。

ひと月ほど前に、本家・アニマル浜口さんの、「『気合いだ!』100連発」を、一緒に見たから、

娘はそれを思い出したのだろう。

「違うってば!本当に言ってたのよっ!」

と、むきになって主張するほどのことでもないので、その場はおとなしく引き下がったが……


本当に言ってたんだってば!!щ(゚Д゚щ)



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むかしむかし、あるところに、心根の優しいお爺さんがいました。

困っている仔狐に親切にしてあげたので、

そのお礼として、母狐から不思議な頭巾をもらいました。

それは、「ききみみずきん」といって、かぶると、

鳥や動物、自然界に生きるものたちの言葉がわかるのです。


                                     (日本の昔話より)




物語の世界に分け入るたびに、少女の私が欲しいものは、どんどん増えていった。

それでも、オズの魔法使いの主人公・ドロシーの赤い靴と、

この「ききみみずきん」は、常に、欲しいものリストの上位にあった。

「ききみみずきん」は、大人になった今でも、憧れのアイテムだ。

彼らの言葉がわかったら、どんなに楽しいだろう。





私が中学生の頃、わが家には大型の秋田犬がいた。

その犬・ボスは、ときどき人がしゃべるような喉声を発した。

うぉ~わぁ、とか、ああうぉ~い、とか、

だいたいそんな感じの、酔っぱらいのおっさんがクダをまいているような声だったが、

まさか、それとまともに会話をする人間がいようとは――。



ある朝、私が学校に行く支度をしていたら、外で、ボスが、

「おぁおう」と鳴いた。

朝ごはんの催促と思われた。


飼い犬の、その手の声はよく耳にしていたはずなのに、

その朝の母は、聞き耳頭巾を装着していたらしい。

あろうことか、 「はい、おはようございまーす」 と返事をしつつ、

レンジの火を消してお弁当づくりを中断し、そそくさと台所から出てきた。

さらに、呆然としている私を押しのけてダイニングの出窓を開け、ぐいっと身を乗り出した。

庭を囲っている生垣の向こうを透かし見ている母の手には、まだフライ返しが握られたままだ。

「変ね。こんな朝早く、どなたかしら?」

「はぁ??」と、私。

裏の犬小屋から、再び、空腹を訴える声が響いた。

「おぅわぁくぅ~ん」

「大和田君(父の仕事を手伝っていた人)に、ご用ですか~?大和田は、まだ来ておりませんがー」

「うぉお~ぃ」

「あのー、まだ、来ていませーん……どちらさまぁ?」



 ……笑うよりもドン引きしてしまった娘(私)の気持ち、わかってもらえるでしょうか(つω-`)



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このあいだの新人鳩がまた飛んで来て、隣家の滴るような柿若葉の奥で鳴き始めた。

「キアイダ、キアイダ、キアイダ、」


ちょうど、傍らでお茶を飲んでいた母に、聞いてみた。

「ねえ、あの鳴き声、何て言ってると思う?」



「……何か鳴いてるの?なにも聞こえないけど?」



思えば、母が愛犬とガチで会話した時から、40年の月日が流れていた。

ききみみずきんどころか、母の日のプレゼントは、補聴器になりそうだ。


なんだか、切ない。


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by mofu903 | 2013-05-09 10:55 | 家族

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冬来たりなば、春遠からじ
"If Winter comes, can Spring be far behind?"

英国の詩人、シェリーの『西風の賦』にうたわれた、この言葉を思い出すたびに、

四季のある国に生まれた幸せを思う。

庭のすみにはもう、ヒヤシンスやクロッカスのつやつやした芽がのぞいているし

桜草も寒さにかじかんでいるように見えながら、小さなつぼみをいくつも蓄えている。



X年前の今日。

その日は、仕事を終えて6時に会社を出たはずの夫の行方が、深夜をすぎてもわからなかった。

結婚して二十年、夕食までに帰れないときは、一度たりとも連絡を欠かしたことがなかったのに。

近隣の警察署に捜索願を出して帰宅したところへ、G県の高速隊から連絡が入った。

夫の運転していた車が、大事故を起こしたということだった。

なぜ、高速を300キロも走ってそこまで行ったのか、見当もつかなかった。

(後から、本人に聞いても、その間の記憶がまったくないという。

原因として考えられるのは、インフルエンザで高熱があったということだけだ)


夫が運び込まれた病院の看護師さんと電話で話した際、背後で、熱に浮かされたような夫の声が聞こえた。

看護師さんたちが、「もしもーし、ジャレット夫さん!えらいですか?」と聞いていて、

夫は、「はい。私、偉いです!」なんて、答えている。

(あとから、「えらい」というのは、その地方では、「体が辛い」という意味だと知った。)


ただちに病院に駆けつけ、医師の説明を受けたが、命には別状ないとのことだった。

しかし、その二日後、私が病院に隣接したホテルで休んでいた明け方、容体が急変した。


当直の医師から、「意識不明、ほぼ危篤状態」と告げられ、

すぐに、東京で留守をまもっていた子供たちを呼び寄せた。

心拍計のピッピッという音を聞きながら、未明のICUの前で、

大窓に降りしきる雪を呆然と眺めていたことを思い出す。




列車を乗り継いでやって来た子供たちと、車を飛ばして来てくれた兄の顔を見て、ほっとしたのも束の間、

夫が経営している会社のおもだった人たちが、次々に訪れた。

全員、すでに夫が亡くなったかのような強張った表情をしている。

専務が言いづらそうに話を切り出した。

事故の情報がどこかから漏れたらしく、取引銀行が融資をストップしたため、会社が倒産寸前だという。

夫が私に一言も話さなかったので、経営状態がそこまで悪化しているとは、夢にも思っていなかった。

まさに青天の霹靂だった。


夫の危篤と会社の倒産。こんなダブルパンチって、有りなんだろうか。

治りかけていたインフルエンザの熱がまた上がってきたらしく、頭がくらくらした。


私はパニック体質のくせに、行くところまで行くとかえって冷静になるという、

自分でもよくわからない性格をしている。

この時も、「夫の命は、私がじたばたしたってどうなるものでもない」と、

早々に覚悟を決めてしまった。

倒産は避けられないにしても、会社の人たちがこうむるダメージを最小限にとどめたいという気持ちが

優先していた。

緊急で決断しなくてはならないこと、行動しなくてはならないことが山ほどあった。



会社の人たちが帰ったあと、兄と子供たちに夫のつきそいを頼み、ホテルに駆け戻った。

疲労困憊で寒気がとまらない。15分だけ、お風呂に入りたい。


部屋のドアを開けると、色とりどりの花がどっさり盛られた籠が、テーブルの上に置いてあった。

事故の相手方からのお見舞いだったが、病室には飾れないし、家に持って帰るわけにもいかない。

思い立って、フロントに電話をかけ、バスタブに花を入れてもいいかどうか聞いてみた。

快諾してもらえたので、

バラ、胡蝶蘭、フリージアにストック……明るい色の春の花を、たっぷりと張ったお湯に浮かべた。


いい匂いの花びらが、お湯が揺れるたびに優しく肌に寄り添ってくれる。

それまで忘れていた涙が、バスタブに落ちた。

幸せだった家族の思い出が一気によみがえってきて、私はめそめそと泣き続けた。



花風呂から上がって、鏡の中に自分の顔を見たとたん、負けん気が湧いてきた。

私は、亡くなった父に似ている。

父なら、絶対こう言うはずだ。

起きてしまったことは仕方がない。起死回生を目指せ。



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それから、いろいろなことが、本当にいろいろなことがあったが、夫は一命をとりとめ、

奇跡的に、後遺症もなく退院することができた。

会社の倒産と本人の破産はまぬかれなかったし、当時思春期だった娘はメンタル面に傷を

負ったままだが、それでも私たちは、仲良く平穏に暮らしている。




冬来たりなば、春遠からじ。

逆境のあとには必ず、再生の時がめぐってくると信じている。







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by mofu903 | 2013-01-30 18:52 | 家族
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母のもとに、ハムの詰め合わせが次々と送り込まれてきたのは、去年の暮れのことだった。

母が長年、お歳暮のやりとりをしてきた人のうち約33%が、何らかの理由で、

母への進物に、この製品を選んだ結果だった。


しめて7個のハムの箱には、それぞれ2、3個ずつ、

ハムやローストビーフや焼き豚などが入っていたから、

合計16個の肉の塊が、母の冷蔵庫にしまわれることになった。


確かに多いとは思うが、この時期、ハム類はいくらあってもいい。

冷蔵庫の中が豊かなのは喜ばしいことに違いない。



しかし、不運なことに、母はハム・ラッシュの直前に受けた健康診断で、

コレステロール値が高すぎることがわかり、主治医から食事制限を申し付かっていた。

「だから当分、お肉は食べないわ」と私たちに宣言した矢先のことである。

はじめのうちは、「あら~ハムだわ。ジャレさんにあげる」といくぶん惜しそうではあるが、

苦笑まじりに譲ってくれていた。


しかし、同じことが三度、四度とかさなるうちに、母の顔がだんだん険しくなってきた。

「またハムっ!?今年は、みなさんどうしちゃったのかしら。何の考えもなく贈ってこられてもね~!!」

「いやいや、ハムだって、よく考えた上で贈ってくれたものでしょ。

そんなこと言ったら、うちが贈ったミカンだって、

どこかのお宅でミカン・ラッシュの一端を担っているかもしれないんだし」


「ミカンはいいのよ。日持ちするし、健康にもいいんだから。

でも、ハムはね…ハムは…とにかく、年寄りにハムはよくないのっ!」

「だから~、ハムが重なっちゃったのは、偶然で……」と初めから説明しても、まったく聞いていない。

腹立ちまぎれに、空き箱をバシバシつぶしている。


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確かに、その気持ち、わからなくもない。

お歳暮は、お世話になった方への一年の感謝を形にしたものだが、

別の面から見れば、物々交換の一形態ともいえる。

こちらからの提供が一律のミカンだったとしても、

「もらう場合は、なるべくかぶらないほうが嬉しい」と思うのが人情だろう。


対して私は、一円も払わずにおいしいハムがまるまる手に入るのだから、まさに濡れ手に粟。

正論をぶつ余裕もあるというわけだ。



そのうち母は、宅配便のお兄さんが玄関先に立った時点で、

「それ、ハムですか?」
なんて聞くようになった。

答えがイエスだったら、受け取り拒否するのかと思ったら、怒りを隠して受け取っている。

(それを盗み見ながら、よっしゃあ!!と心中で快哉を叫ぶ私)


知り合いにもちょこちょこおすそ分けしているようだったが、賞味期限がそれほど長くないこともあって、

ねらい通り、かなりの量が私たちに回ってきた。

私と夫と娘にとって、近来稀に見る、ハム食べ放題月間だった。


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さすがに、大量のハムもあらかた食べつくした(残るは冷凍庫の一個だけ)。

今日、『トリック』のDVDを見ていたら、母が通りすがりに、画面をちらっと見て、

「この人のこと、好きじゃないのよぉ。どうしてかしら」


母の視線の先には、イケメン俳優の阿部寛さんが微笑んでいる。


えええ?∑( ・Д・ )

お母さん。

あなた、おととしNHKでやってた『坂の上の雲』の大ファンだったじゃないですか。
私にあらすじを語って聞かせながら、感動のあまり涙ぐんでいたじゃないですか。

主役のひとり、秋山好古を熱演した、阿部さんだよ?



腑に落ちなかったが、常にころころっと気が変わる母のことである。

ありがち、ありがち。

しかし、あとからハタと気づいた。


阿部寛さん、ハムの会社の宣伝をしてなかったっけ?

去年のお歳暮シーズンに、テレビのCMでよく見かけていたような…


そうだ、伊藤ハムの「ハムの人」だっ!!





まさか、阿部さんを嫌いになっちゃった理由って、ソレなの?

…………無意識のうちに、刷り込まれてたりするものなんでしょーか(。-∀-。)
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by mofu903 | 2013-01-23 00:20 | 家族

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この秋、サンマの顔を見ていない。


うっかり魚用ロースターを炎上させてしまってから、焼き魚はフライパンで作っていたのだが、

特に不便は感じなかった。

だが、サンマだけは別だ。どう頑張っても、はみ出してしまう。

二つに切ればいいのだが、その手間をかけていられないほど忙しかった。

というか、やる気が起きなかった。


あらかじめ頭を落とし、わたが抜いてあるのを買ってきて食べたが、

大根おろしとすだちをたっぷり利かせたにもかかわらず、美味とは言い難かった。

わたの苦みのないサンマが、これほど味気ないとは。



そのせいもあったのだろう。

雑誌を読んでいた夫が、「おおっ、これ買って!」と意気込んで叫んだ。

珍しく、メガネの奥の両眼が輝いている。

「これ」とは、うまいもの紹介のコラムに載っている冷凍干物だった。

「炭火でこんがりあぶったような味わいの干物が、レンジでチンしただけで食べられる」

というくだりに、気をそそられたらしい。

ホンマかいな?と思ったが、「買って~買って~」とうるさいので、

半信半疑で、『三種の干物セット』というのを注文することにした。



お昼どき、夫は早速届いた干物のパックを、いそいそと冷凍庫から出してきた。

『レンチンだけ』というのがうたい文句だから、いくらぶきっちょな夫でも、

一人で対応できるだろうと思っていたら、甘かった。

メガネをずらして、パックに書いてある説明を読み始めた夫、

いつまでもレンジの前で凍り付いたように動かない。

みずから冷凍ダコみたいになっちゃっていたが、やがて、不満そうな声で、

「おーい、これ、変だよ」と訴えかけてきた。

「どした?」

「サバと、アジと、カマスは、ワット数と秒数が書いてあるのに、

『ギョロ目』に関してはなんにも書いてないんだ!」



またおかしなことを言い出したから、聞こえないふりをしていたのに、わざわざ見せに来た。

「ほら。」

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・・・・・・・・∑(OωO )

確かに、パックには「ギョルメ」って書いてあるけど、これは会社の名前なんだわ。

確かに目はギョロッとしてるけど、どう見てもカマスだわ。


そう言うと、夫は、

「冗談に決まってるでしょ、はっはっは」

ばつが悪そうに笑いとばして、再びレンジに向かい、いよいよスイッチオン。


んが、肝心の『パックを2センチ開封』を無視していたので、

ギョロ目は、『炭火でこんがり』の前に、爆発した。




焼き魚に関しては、

炭火>ロースター>フライパン>電子レンジ

が、わが家の結論でした。




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by mofu903 | 2012-11-06 09:36 | 家族
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「べつに、モノがほしいわけじゃないのよ? 気持ちの問題なのよ!」 


こういう言い方をするのは、ほとんどが女性だ、と私は思っている。

前半部分は、
『べつに謝ってほしいわけじゃないけど』 とか、
『べつに気を使ってほしいわけじゃないけど』 とか、
さまざまなバリエーションがある。


たぶん、私もそこそこ使っているんじゃないかと思う。
にもかかわらず、長いこと、この言い方が嫌いだった。

なんとなく、
『結局は○○してほしいくせに、それをストレートに伝えられないから、精神論を持ち出してきた』
みたいに聞こえるからだ。


しかし、馬齢を重ねるごとに、この言い方にも一理あると思えるようになってきた。
確かに、「気持ちの問題なのよ」と言いたくなることって多い。

母の日に、息子がプレゼントを忘れていたりすると、
「べつに、プレゼントがほしいわけじゃないのよ、でもねぇ・・・」
とつぶやいている自分がいる。


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今年もまた、庭先でミニトマトを作っている。

丈が低く、コンパクトに育つ品種だが、真っ赤な実がたわわにつくから、見た目も楽しめる。
というより、もともと観賞用なのかもしれない。
皮はビニールのように固く、甘みも少ない。
だから、もっぱらダイエット中の夫の、口寂しい時のおやつにしていた。


 先日、これを収穫していたところ、母からチクリと嫌味を言われた
「あなたって、大事なトマトを一つも私にくれないのね」


 思いがけないクレームだったので、びっくりした。
母だって、私が世話しているところを眺めながら、「これは、観賞用だわね~」なんて言っていたのだから。
だいいち、私が普段行かないような高級スーパーのミニトマトを冷蔵庫に常備している。
その朝も、ちゃんと朝食のお皿に乗っているのを見た。

なのに、お世辞にもおいしいとは言えないしょぼくれトマトを食べたがる理由がわからなかった。


「え?食べたかったの?」
「別に食べたいっていうわけじゃないけど……だって、家でとれたのは、農薬も使ってないし、
お店で買うより安全でしょ?」
「へえ、そうなんだ。じゃ、どうぞどうぞ。ただし、おいしくないよ」

勧めると、一つ二つつまんで、
 「う~ん、やっぱりぜんっぜん違うわぁ。自然の味がする!」 

ホンマかいな・・・・・まるで、食べ歩き番組の出演者みたいだ。

さすがに、「まいうー!!」とは叫ばなかったけど。




 そんなことがあったので、
お詫びをかねて、ベランダで作っているピーマンを進呈することにした。
このピーマン、なかなかの豊作だったが、一つ欠点がある。


ブサイクなのだ。
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だから、なるべく形がいいのを選んで、いくつか持って行った。

「あら、ピーマンも作ってたの!いいわねぇ、自家製栽培は」

受け取るなり、くんかくんかと匂いをかいで、「おぉ~、いい匂い!!」
そしてなんと、そのままガブリ!  ガリガリ。

ぅっそ~ん、あなた、そんなにワイルドでした?歯はダイジョブですか?

「う~ん、おいしいっ!やっぱり、買ったのとぜんぜん違うわっ。ほーほっほっほ」 

母、上機嫌の高笑いであった。



 そこまで喜ばれるなら、こっちも張り合いがあるというものだ。
もっと早くあげればよかった~などと少々後ろめたく思いながら、
数日後にまた、なるべく出来のいいのを選んで持って行った。

さぞかし喜ぶと思いきや、テレビを見ていて振り向きもせず。


「ここに置いておくね」
と言っても、「はぁ~い」、と気のない返事。
よっぽどテレビに没頭してるんだね……。




 今日もまた、ピーマンを差し入れに行った。
今回は、「はい、どーも」と言ったきり、笊ごとちょんと棚に置いて、すましている。

テンション低っ!!

肩すかしを食った気分で、引き上げようとすると、
「あ、じゃれさん?」
呼び止められたので、余裕のほほえみで振り向いた。
(いーんですよ、お礼なんて・・・)


「あのね、こう言ったら悪いけど、ピーマンって好きじゃないのよ」



げ。∑(OωO )

んじゃ、
あのピーマンまるかじりのパフォーマンスは、何だったんすか???  


……もしかして、私がトマトをあげなかったことに端を発した小芝居でした?


そっか、すねてたのね。
まさに、『べつにトマトやピーマンがほしいわけじゃないけど、気持ちの問題』 だったのね。


それはわかったけど……



なんで、途中であっさり演技をやめちゃうわけ?





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ホント、ホント! まーったく扱いづらいよな!
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by mofu903 | 2012-09-22 11:49 | 家族
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当時高校生だった娘と、バスに並んで座っていたら、
赤ちゃんを抱っこしたお母さんが乗ってきた。



ボランティア精神にあふれた娘がサッと席を立った。
さて――

問:ここで、娘は何と言ったでしょう?





答:「デバガメですが、お掛けになりますか?」


一瞬、目の前がちかちかした。
普段から、妙にはきはきした物言いをする娘なので、声はかなり響いた。

衝撃は即座にほかの乗客にも伝わっていき、前の方にいた人たちが振り返った。

 さいわい、若いお母さんはこだわりのない笑顔でお礼を言って腰を下ろしたが、
すぐ前の席の男性は、うつむいていつまでも肩を小刻みに揺らしていた。

私は、あきれ返って笑うどころではなかった。




 バスを降りてすぐ、あれはどういう意味だったの?と詰問すると、
きょとんとしている。

「だからさぁ、デバガメはないでしょ」 重ねて言うと、
娘はイノセントな知ったかぶり顔で、


「デバガメって、『差し出がましい』っていう意味だよ?」

  
ギャーーー!!それ、ぜんっぜん、ちがうから!∑(*゚Д゚ノ)ノ



 
明治の末に、覗き常習犯の「出歯亀」と呼ばれた人物がいた(しかも殺人まで犯している)。

転じて、「デバガメ=覗き行為」と知っているのは、だいぶ年季が入った人たちだ。

 そんな古臭い言葉を、娘はどこから仕入れたのだろう?という疑問は措くとして、

「差し出がましい」という、奥ゆかしい言葉と同義に使うとはなにごとか!
(まぁ、語感はなんとなく似てなくもないけど)

 その場で正しい語意を教えたが、その時の娘のうろたえぶりからするに、
それまでも多用してきたに違いなかった。

 「デバガメですが!」 って。

うら若き娘が、公共の場で、にこやかに、(見ようによってはニヤニヤ笑いで)発するとは…




 このデバガメ行為で、中世ヨーロッパで大いに名を馳せた、仕立て屋がいる。

この男(ピーピング・トム)が覗き見をしたのが、
ベルギーのチョコレートメーカー、「ゴディバ」のシンボルにもなっているゴダイバ夫人である。
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領主レオフリック伯爵とその美しい妻レディ・ゴディバの伝説は、

1043年、英国の小さな町コベントリーで生まれました。

コベントリーの領主・レオフリック伯は、町を豊かで文化的な都市へ発展させようと決意し、

まず大修道院を建設しました。

この成功により、伯爵の野心はますます燃え上がり、次々と公共の建物を建てては、

領民から取る税を増やします。

心優しいレディ・ゴディバは、貧しい領民の苦悩を思いやり、伯爵に税を引き下げるよう

頼みました。

伯爵は断りましたが、彼女は何度も訴えます。

ついに議論に疲れた伯爵は、彼女に告げます。

「もしそなたが一糸まとわぬ姿で馬に乗り、コベントリーの町中を廻ったなら、

その時建設計画を取り止めて税を引き下げよう」

翌朝、彼女は一糸まとわぬ姿で町を廻りました。

領民たちはそんな彼女の姿を見ないように、窓を閉ざし敬意を表しました。

そして伯爵は約束を守り、ついに税は引き下げられたのです。


                                            ―ゴディバHPより―




 あれから、月日は流れ…

 おぉ、あそこにいるわ~!デバガメに覗かれたひと~と、ゴディバの店頭を指さすと、

今年22歳の娘は無言のまま、いきなりガツガツと歩を速めた。

 

ごめん、トラウマだったのね……(ll^ω^)

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新宿駅西口にあるショコリキサーの、ミルクチョコレートデカダンス。
濃厚でおいしぃ~♪



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ブログを始めてから、ちょうど二年たちました。
ご訪問くださる皆様、応援してくださる皆様のおかげで、細々ながら続けて来られました。
ありがとうございます。心より御礼申し上げます。
ゆるい更新ですが、これからもどうぞよろしくお願いいたします(*´∀`*)ノ
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by mofu903 | 2012-09-12 13:46 | 家族