レディ・ゴディバとトラウマ

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当時高校生だった娘と、バスに並んで座っていたら、
赤ちゃんを抱っこしたお母さんが乗ってきた。



ボランティア精神にあふれた娘がサッと席を立った。
さて――

問:ここで、娘は何と言ったでしょう?





答:「デバガメですが、お掛けになりますか?」


一瞬、目の前がちかちかした。
普段から、妙にはきはきした物言いをする娘なので、声はかなり響いた。

衝撃は即座にほかの乗客にも伝わっていき、前の方にいた人たちが振り返った。

 さいわい、若いお母さんはこだわりのない笑顔でお礼を言って腰を下ろしたが、
すぐ前の席の男性は、うつむいていつまでも肩を小刻みに揺らしていた。

私は、あきれ返って笑うどころではなかった。




 バスを降りてすぐ、あれはどういう意味だったの?と詰問すると、
きょとんとしている。

「だからさぁ、デバガメはないでしょ」 重ねて言うと、
娘はイノセントな知ったかぶり顔で、


「デバガメって、『差し出がましい』っていう意味だよ?」

  
ギャーーー!!それ、ぜんっぜん、ちがうから!∑(*゚Д゚ノ)ノ



 
明治の末に、覗き常習犯の「出歯亀」と呼ばれた人物がいた(しかも殺人まで犯している)。

転じて、「デバガメ=覗き行為」と知っているのは、だいぶ年季が入った人たちだ。

 そんな古臭い言葉を、娘はどこから仕入れたのだろう?という疑問は措くとして、

「差し出がましい」という、奥ゆかしい言葉と同義に使うとはなにごとか!
(まぁ、語感はなんとなく似てなくもないけど)

 その場で正しい語意を教えたが、その時の娘のうろたえぶりからするに、
それまでも多用してきたに違いなかった。

 「デバガメですが!」 って。

うら若き娘が、公共の場で、にこやかに、(見ようによってはニヤニヤ笑いで)発するとは…




 このデバガメ行為で、中世ヨーロッパで大いに名を馳せた、仕立て屋がいる。

この男(ピーピング・トム)が覗き見をしたのが、
ベルギーのチョコレートメーカー、「ゴディバ」のシンボルにもなっているゴダイバ夫人である。
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領主レオフリック伯爵とその美しい妻レディ・ゴディバの伝説は、

1043年、英国の小さな町コベントリーで生まれました。

コベントリーの領主・レオフリック伯は、町を豊かで文化的な都市へ発展させようと決意し、

まず大修道院を建設しました。

この成功により、伯爵の野心はますます燃え上がり、次々と公共の建物を建てては、

領民から取る税を増やします。

心優しいレディ・ゴディバは、貧しい領民の苦悩を思いやり、伯爵に税を引き下げるよう

頼みました。

伯爵は断りましたが、彼女は何度も訴えます。

ついに議論に疲れた伯爵は、彼女に告げます。

「もしそなたが一糸まとわぬ姿で馬に乗り、コベントリーの町中を廻ったなら、

その時建設計画を取り止めて税を引き下げよう」

翌朝、彼女は一糸まとわぬ姿で町を廻りました。

領民たちはそんな彼女の姿を見ないように、窓を閉ざし敬意を表しました。

そして伯爵は約束を守り、ついに税は引き下げられたのです。


                                            ―ゴディバHPより―




 あれから、月日は流れ…

 おぉ、あそこにいるわ~!デバガメに覗かれたひと~と、ゴディバの店頭を指さすと、

今年22歳の娘は無言のまま、いきなりガツガツと歩を速めた。

 

ごめん、トラウマだったのね……(ll^ω^)

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新宿駅西口にあるショコリキサーの、ミルクチョコレートデカダンス。
濃厚でおいしぃ~♪



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ゆるい更新ですが、これからもどうぞよろしくお願いいたします(*´∀`*)ノ
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by mofu903 | 2012-09-12 13:46 | 家族