タイムセールの謎

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若い女子に人気の、Eというファッションブランド店がある。
先日、その近くを通りかかったら、レジの前に長蛇の列ができていた。


Sale! 50%OFF


赤い文字が、店頭でひらひらと躍っている。
そっか、もう夏物バーゲンの季節なんだ……

と、ささやかな感慨とともに通り過ぎた背後で、店員さんの呼び込みの声が響いた。


ただいま、3時までのタイム・セールです!
店内のワンピース、スカートどれでも一着1260円にお値引いたします!
1万円のお値札がついたものでも、今なら、一律1260円!
 



気が短くて、列に並ぶのが大嫌いな私だが、さすがにこれを聞いたら、後戻りせざるをえない。
時計を見ると、タイムセール終了の3時まで、まだ10分ある。
ちょうど目の先に、娘の好きそうなワンピースも下がっている。

値札は6300円だが……ホントにこれも1260円?


ときどき勘違いをして赤恥をかくことがあるので、念のために、
店内を忙しく飛び回っている店員さんに聞いてみることにした。

「このワンピースも、1260円ですか?」
「はい、大丈夫ですよ~」



そうか、そうか。なんちゅう太っ腹な店だろう!
娘の喜ぶ顔を思い浮かべながら、水色のワンピースを抱えて行列に加わり、
「はぁ~、今日はラッキーだった……」
小さな幸せに浸るうちにも、列はどんどん長くなる。
一方、レジ処理は遅々として進まない。


そのうち、3時ジャストになった。
当然、店員さんが、「はい、ここまで~」と言って、
列の最後尾でストップをかけるものと思っていたが、その兆しがない。
代わりに、呼び込みの声が「1260円」から、「店内すべて、半額です~」
に代わっているようだったが、その時は別に気にならなかった。


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3時5分すぎ。

列に並んでから、15分が経過していた。
近来まれにみる忍耐強さを見せた結果である。



ついに私の番が来て、いそいそとレジにすすむと、

「こちら、6300円のお品の半額ですので、お会計、3150円になります」

へ?……は、はんがく?
1260円じゃないの?

「そんな、殺生な!」という言葉が、脳裏に浮かんだ。
連鎖反応で、過酷に年貢を取り立てる悪代官の足元にすがりつく爺様の姿も。
しかし、そこがカッコヅケ東京モンの悪い癖で、私は黙ってサイフを開け、
3150円を支払ったのである。


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家に帰ってから、はたと気づいた。
あの、「3時まで1260円」の「3時まで」は、「レジを通る時点で」が省略されていたんだ!と。
な~んだ。私ってば、ほんとにアホだわ。てへ。


しかし、冷蔵庫から残り物のおからを出して来て食べているうちに、
なんだかモヤモヤしてきた。


いや、待てよ。
それじゃ、初めからそう言うべきなんじゃない? とか。
さもなければ、「たった今から、1260円はとりやめ~!」とレジの女性がなぜ叫ばない?
 とか。
「レジで3時」がリミットなら、3時0分55秒はどうなのだ? とか。


もっと細かいことを言うなら、「3時にレジを通過」とは、どういう状態なんだろう。
レジカウンターに買いたい商品を乗せた時か、
「次のお客様~」と呼ばれた時か、
支払いを終えた瞬間なのか。


ここでおからが胸につまってモヤモヤがひどくなったので、麦茶を飲んだ。
モヤモヤはとれたが、今度は無念の思いがどっと押し寄せてきた。

これは、
『お客を集めるだけ集めておいて、当の3時が過ぎるまで、
わざとレジ作業に手間取ったふりをしている』
と、邪推されても仕方ないケースではなかろうか。


私の前に並んでいたお客・数名と、私の後方・十数名は、
あきらかに一着1260円では買えずに、涙を呑んだと思われる。

にもかかわらず、クレームをつけた人は、私が見ていた限り、ひとりもいなかった。

これぞ、東京人に共通した、カッコヅケ以外の何ものであろうか。
大阪のおばちゃんがこの不甲斐なさを知ったら、なんと評するであろうか。



もちろん、東京人であっても、さりげなくスマートに(あるいはドスをきかせて)、
「あら?(はぁぁ~?)、1260円じゃないの?」
と聞ける方はいらっしゃるでしょう。
「不甲斐ないのはあんただけでしょ」と言われれば、一言もない。



そもそも、この方式がタイムセールの一般ルールであって、私が無知なだけなのかもしれない。
その可能性も大いにありそうだが、いつも行列を横目でスルーしてきたので、
その辺の常識がわからない。


どなたか、見栄っ張りで小心な私に、正解を教えていただけませんか?




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by mofu903 | 2012-07-19 11:25 | 日常