英国の水仙


ダフィー・ダウン・ディリーが町にやってきた

黄色いペチコートに緑のガウン着て


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庭の水仙が咲き始めると、
  『マザー・グース』  の中に収められているこの小さな詩を思い出す。

ラッパ水仙を擬人化して歌っているのだが、黄色いペチコートと緑のガウン(長いドレス)
というのは、トップスとボトムスの位置が逆のような気がする。

上着が黄色、スカート部分が緑となるはずなのに、変だなぁ、
とずっと思っていたのだが、
今回こんな挿絵を見つけて、なるほど! と納得。

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美女を花にたとえるのはありがちだが、そのあらわすところは、
妖艶、優美、気品、あるいははかなげな風情などであることが多い。

『立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花』などと讃えられる美女は、
完璧すぎて近寄りがたいが、
「ダフィー嬢ちゃん」は元気いっぱい、野の香りをふりまきながら春の訪れを謳歌する、
気さくな女の子を連想させる。


桜の薄紅を日本の春の象徴とするなら、この鮮やかな明るい黄色は、
英国の春=暗く長い冬の終わりを告げる季節、の象徴のように思える。



 桂冠詩人、ウィリアム・ワーズワース(1770~1850)は、
イングランドの湖水地方を散策していたとき、
『一目見ただけで、ゆうに一万本はあると思われる』黄水仙の群生に出会った。
その光景からインスピレーションを受け、代表作のひとつともいえる次の詩を書いた。



「水仙」                   
                          ウィリアム・ワーズワース



谷や丘のはるか高みに浮かぶ雲のように
ひとりぼっちでさまよっていると
突然目の前に黄金に輝くおびただしい水仙の群れ
湖のほとり、木々のもと
そよ風に揺れて踊るがごとく



銀河に輝き瞬く星々が連なるように
入り江に沿って果てしなく続く一本の線となって
一目見渡せば一万本もの花が
頭を上げ楽しげに踊っていた



湖岸では波もともに踊っていたが
その歓喜は花に及ばず
かくも陽気な仲間の前で
詩人の心がときめかぬわけがない
しかしいつまでも見飽かぬその眺めが
僕にどれほどの恩恵をもたらしたか
気づくのはもっと後のことだった



空しさと寂寥に胸をふさがれ
寝椅子に横たわっているときに
孤独の賜物である内なるまなざしに
これらの花影がしばしば鮮やかによみがえり
僕の心を喜びで満たし
心浮き立つダンスへといざなうのだ


                               
                                    (拙訳のほどお許しください)



 今から200年前、高名なロマン派の詩人が目にしたという、この幸せな美しい情景を、
春ごとに思い描き、憧れずにはいられません。


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The Daffodils
              William Wordsworth


I wander'd lonely as a cloud
That floats on high o'er vales and hills,
When all at once I saw a crowd,
A host of golden daffodils,
Beside the lake, beneath the trees
Fluttering and dancing in the breeze.

Continuous as the stars that shine
And twinkle on the milky way,
They stretched in never-ending line
Along the margin of a bay:
Ten thousand saw I at a glance
Tossing their heads in sprightly dance.

The waves beside them danced, but they
Out-did the sparkling waves in glee:
A poet could not be but gay In such a jocund company!
I gazed - and gazed - but little thought
What wealth the show to me had brought.

For oft, when on my couch I lie
In vacant or in pensive mood,
They flash upon that inward eye
Which is the bliss of solitude;
And then my heart with pleasure fills
And dances with the daffodils.
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by mofu903 | 2012-04-03 11:33 | 植物 | Comments(8)
Commented by tette at 2012-04-04 00:14 x
また綺麗な水仙ですこと!
草丈といい、花弁のシッカリ加減と言い、ミス水仙ですわ♪
それにしても花をスカートに見立てたというのはスゴイ発想ですね。
花のうつむき加減からかぁ・・・なるほど見える・・・見えるぞ!byムスか
花を切ってしまうなんて絶対できませんけど、この絵の逆で
お花を水に浮かべてもきっとステキでしょうね・・・♪
鮮やかな光景ってココロに宿りますね。
そして、いつもキラキラをくれます。
この春もいっぱい見に出かけましょうね~(*^_^*)

Commented by masupian at 2012-04-04 08:46
おはようございます  ♪

 ジャレットさんのブログを読ませて頂き、大好きなイギリスの湖水地方を
 思い出させて頂いています。
 朝から優雅にフレーバーティーなんぞを入れて、この詩を読みたい気分に。
 私は、夏のシーズンに行きましたので春の湖水地方はまだ見ぬ世界・・・。
 ジャレットさんのお洒落なお言葉とワーズ・ワースの言葉たちに
 想像力を膨らませています。
 素敵な時間を頂き、有り難うございました。

 ジャレットさんの秘密の花園に春到来ですね。
 素敵な水仙に見入ってしまいました。
 これから、春本番。
 楽しみが沢山でワクワクします。
 ジャレットさんとご一緒にこの素敵なシーズンを楽しめればと思っています。


 
Commented by fuuco_24 at 2012-04-04 08:55
ジャレットさん、おはようございまぁす(^-^)

マザーグース、ひところ夢中になった記憶があります~。 いまなら、もう少しきちんと意味をくみ取れるかしら・・・難解というか、独特の雰囲気が魅力的で、意味もわからず、不思議な言葉の響きに夢中になっていただけだったように思うのです。 あ、頭悪いから理解してなかっただけかな(^-^;)

見たものを何かに例えるとき、自分が理解できなくとも、あまりにも刺激的な表現をする人が居ると、目にとまったものだけで、こんなにも受け取り方が違うのかとドキドキしちゃうことがあります。
美しい言葉に変わるだけではないけれど、それでも、やっぱり刺激は嬉しいなぁと思います(^-^)

ジャレットさんの感性は、とってもとっても刺激的です~。
新しい扉が開かれるような、ワクワクした気持ちになります♪
Commented by ジャレット at 2012-04-04 12:50 x
tetteさん、あらま、見えちゃいました?^m^
「花を切ってしまうなんて絶対できない」とおっしゃるtetteさんの優しさが、好・き…♥
今回もまたキイロつながりで水仙です。
あれれ、キイロは三月じゃなかった?って、自分でつっこみを入れながら(笑)
あれから、共感覚テストなるものをしてみましたが、結果はSでした。
Sなんて、テストでもらったのは初めてだい。
この感覚を楽しみ(ときどきは邪魔され)ながら、この春のキラキラ集めにいそしみたいと思います。
そうですとも、本当に心に宿りますね。
キラキラの外見はとっくに諦めたので、これからは内面で勝負ですわ(*^^)v
Commented by ジャレット at 2012-04-04 13:11 x
ひめ、こんにちは。
うちのほうの桜も、昨日の強風にめげずちらほら咲きだしましたよー
ひめも湖水地方がお好きでしたね。
私も春に訪れたことがないので、この光景にあこがれ続けています。
へたな訳で、ワーズワースさまにため息をつかれそう^_^;
でも、「素敵な時間」とおっしゃっていただけてホッとしました。
ありがとうございます(*^_^*)

そうですね、またワクワクする春がめぐってきて、ロビンの出番(笑)
毎朝、新しい花が咲き出しているので、庭に出るのが楽しみでたまりません。

はい、ご一緒に楽しみましょうね!
素敵なお写真、よろしくおねがいいたします<(_ _)>



Commented by ジャレット at 2012-04-04 13:36 x
ふぅこさん、こんにちは。
私、ふぅこさんの「こんにちはぁ」だけじゃなく、「おはようございまぁす」も好きなことに気づきました^^

マザーグースは私もひとしきり、はまりました。
特に、谷川俊太郎さん訳+和田誠さん絵という文庫が気に入って、ごていねいに、挿絵に色まで塗ってました(笑)
そうそう、このマカフシギな感じがたまらないんですよね。
マザーグースの裏にあるちょっと黒い歴史なんかも、ゾクゾクっと愉しかったりして。
ああ、ふぅこさんと、もっとマザーグースのお話がしたいです。

刺激的ですか?きゃあ、恥ずかしいよぅ(ノω`*)ペチ
そんなにほめていただくとますます調子にのって、勝手なことを書きまくりそうです。
くーるだうん、くーーるだーーうん。どぅどぅ。
私の方こそ、「刺激がうれしい」とおっしゃるふぅこさんのライフスタイルを見習わせていただきたいです(^-^)


Commented at 2012-04-04 21:12
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by mofu903 at 2012-04-05 13:09
鍵コメさん、ね、おそろいでしたね(*^^)v
キノコ好きの仲を経て、ついに、以心伝心の域かしら?!(笑)

ダフィー嬢のフリル付きドレス、素敵でしょ?
「高らかにうたっている感じ」、本当ですね。
私はイエロー系が似合わなくて一つも持っていませんが、一度は身に着けてみたい色。
鍵コメさんは、いかがでしょうか。
イメージ的には、とてもお似合いになりそうな気がします^^

昔、(またしても、昔ですが^^)この水仙の群落をみたことがあるんです、民家の裏庭インジャパンで(笑)
一万本には遠く及ばない数百本くらいの規模でしたが、そのすがすがしい明るさといったら!
今でも目に焼き付いています。
その時、球根をいくつかもらって実家の庭に植えていたのですが、植えっぱなしでも、きちんと春ごとに咲いてくれました。
そんなけなげなところも大好きです(^.^)
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