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三月イエロー

  

 周囲の人に尋ねて回ったことはないのだが、
「一月から十二月まで、その月に似合った色がある」
という考えは、わりとポピュラーだと思う。

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 カレンダーやスケジュール帳も、<それらしい>カラーで、色分けされていたりする。
 雪、花、新緑、紅葉、または海や空など、季節ごとに移り変わる自然界の色。
お正月やクリスマスなどの、行事を連想させる色。


 人によってイメージするカラーも違うだろうが、
たとえば八月といったら、たいてい、夏休みにすごした海や山の記憶から、
ブルーやグリーンを思い浮かべるのではないかしら。
私もずっとそうだった。
でも、近ごろは、猛暑の夏が続くせいで、赤やオレンジなどの強烈な太陽の色のイメージが強くなっている。


 一月は銀色…かな。二月はやっぱり、雪の白?
そして三月は……もちろん、黄色!
この三月イエローだけは、私の中で揺るぎがない。



 一年生のころ、「クレヨン王国の12か月」という本を読んだ。
十二か月が十二色のクレヨンになぞらえられてお話がすすんでいく。
作中では、三月のシンボルカラーはピンクという設定だったと思う。
一月の白や、八月の青、などは素直にうなずけたのだが、
三月だけは、「ちがうなぁ、三月はぜったいに黄色だよぉ」
と、違和感を持ったのを覚えているから、
私の三月イエロー説は、当時からすでに頭に刷り込まれていたらしい。

 
 

 この思い込みはどこからくるのだろう?と、さっきからあれこれ考えているのだが、
答えがみつからない。

 菜の花やミモザの花、雛祭りのちらしずしの錦糸卵、やわらかな光を放つ朧月。
そういったものが振りまく、ほのぼのとした愛らしさが、いかにも初々しい春を感じさせるからだろうか。
カステラやプリンやオムレツにも、三月イエローのイメージがつきまとう。
こちらの出どころはハッキリしていて、イースターエッグからの連想と思われる。
(イースターは春分後の満月直後の日曜日)

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 春先は黄色い花が多いともいう。
ノゲシ、ノボロギク、ハハコグサ、オニタビラコ――
ひとくくりに雑草と呼ばれるような仲間も、道端の陽だまりで、小さな黄金の星をかかげている。

 黄色には、活動を始めた虫たちを引き寄せる力があるというが、
虫だけでなく鳥も引き寄せるのだろうか。
今年は寒さによる餌不足で、庭で育てていた花も、
咲き始めるそばからヒヨドリの食事になってしまった。
彼らもどういうわけか、黄色のクロッカス、黄色のビオラだけをついばんでいく。



 三月のイメージをロマンチックにまとめたかったのだが、残念ながら、ここ何年かは、
黄色は私の「注意」信号の象徴にもなっている。

 
 長い冬が終わって、万物が一気に春へと動き出す今の季節、なんとなく体調がすぐれない。
昔から「木の芽時はご用心」などと言われるが、私も御多分にもれず、
この急激な変化に、体と脳みそがついていけない。
気候の変化だけでなく、人づきあいをはじめとするもろもろの環境の変わり目なので、
ナーバスにもなっているのだろう。

「自分の体と心の声に耳を傾ける」
「赤信号を点灯させないよう、ゆっくりゆっくり」

と、自分に言い聞かせながら過ごす今日この頃である。



 今月も残すところあとわずかですが、みなさんも(アリスのように)、
せかせかとせわしない『三月ウサギ』を追いかけるときは、
どうか事前のウォーミングアップをお忘れなく。

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by mofu903 | 2012-03-28 15:47 | 季節