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100年の不作

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「ほらぁ、私って悪妻だからさぁ~」
と、自己申告する既婚女性の大半は、本気でそう思っているわけではない。
わがままを言ったり、邪険に当ったりしても、夫は愛する私を見限らない、
という自信に基づいた発言だ。
私は、「悪妻カミングアウト」=おのろけの一種とみなしている。

女友達の間でこの手の話題になると、私はもっぱら聞き役に回る。
なぜなら私、おのろけうんぬん以前に、
自分を悪妻だとは、これっぽちも考えていないからだ(あちらはどう思っているか知らないが)。
この考え自体が、悪妻っぽい、ですって?
確かにそう思えるフシもあります(笑)


そもそも悪妻とは何ぞや。
辞書には、「その男にとって好ましくない妻」とある。
『その男にとって』というところがミソで、「その男」には好ましくなくても、
「あの男」には好ましいかもしれない。
割れ鍋であれ、綴蓋であれ、お互いの相性さえ合えば、傍目にはどう映ろうが、
至高の伴侶にもなりうるわけだ。

 さて、「悪妻」の定義はさまざまありそうだが、一般的に、
「夫を尻の下に敷いている」
「わがままで気が強い」
「奔放すぎる、あるいは貞操観念に乏しい」
「異常に嫉妬深い」

などは、外せない要素だろう。

 それでも、「悪妻」と言うレッテルは、「悪人」や「悪女」と違って、
一種のユーモアを感じさせる。

 既婚男性が、「いやぁ、うちの奴はとんでもない悪妻でして」と心情を吐露したとする。
しかし、それほど悲壮感を伴わないのはなぜか。
婚姻関係の継続が任意のものだから、というのも大きな理由だろう。
聞かされる方も、
「そこまでワルい妻なら、さっさと別れれば? 結局、好きで連れ添ってるわけでしょ」
と、言いたくなる。
もっとも、家庭内の状況や、社会的な立場を考えれば、簡単には三行半をつきつけられないのかもしれないが。

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 悪妻についてのエピソードを漁っているうちに、
歴史上のそうそうたる人物が、いかに妻に手を焼かされていたかを知って、
思わずもらい泣きしたくなった。
同胞では、源頼朝、足利義政、武田信玄、徳川家康、千利休、森鴎外……など。
海を渡れば、ソクラテス、モーツァルト、ハイドン、ナポレオン、トルストイ、
リンカーン、アインシュタイン……などなど。

 対する奥方勢は順に、北条政子、日野富子、三条の方、築山殿、おりき、森志げ。
クサンティッペ、コンスタンツェ、マリア・アンナ、ジョセフィーヌ、ソフィア、
メアリー・トッド、エルザ。

 彼女たちの逸話を知れば知るほど、その旺盛なバイタリティーに驚愕する。
ビッグな人の悪妻はやはりビッグで、発散する悪(?)のオーラが、
凡妻のそれとはレベルが違うようだ。

 しかし、歴史に名を残すような男たちが、悪の力だけで虜になるわけがない。
強烈な、女性的・人間的魅力が加わってこその、スーパーカリスマオーラである。


「ずいぶんと敵を持ったけれど、妻よ、お前のような奴は初めてだ! 」  バイロン(英・詩人)
 

さらに、菊地寛のこんな名言も見つけました。

「悪妻は百年の不作であるという。しかし、女性にとって、悪夫は百年の飢餓である」
                                    



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娘に、ポンチョ風のスヌードを編みました。はぁ~、慣れない仕事で肩がこりこり。

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つけるとこんな感じです(^_^)編み目が不揃いなのは、ご愛嬌ということで…^^;