V I P (Very Important Purse?)
久しぶりに家に帰って来て冷蔵庫をのぞいたら、麦茶しか入っていない。
仕方なく、炎天のもと、スーパーに行って食品を買い込み、疲労困憊して家にたどり着く。
やれやれ、と荷物を下ろしたとたん、悲劇に気づいた。
「パック入りキムチ・お徳用」の汁が、レジ袋の中に溢れていたのだ。
たまたま食品と一緒に放り込んであった革の財布が、
まるごとベタな唐辛子色に染まっている。
これも「草木染」に入るのかしら、という考えが一瞬、頭の隅をよぎったが、
すぐに事態の深刻さを認識して、ギャーッ!と叫ぶ私。
(ニュージーランド土産にもらった、お気に入りがぁぁあ!)
無我夢中で中身を抜いた財布をつかんで流しに飛んで行き、洗剤まみれにし、
ヤケになってたわしで擦りながら、最近枯渇気味だった目元に涙がにじむのを感じた。
ザブザブすすいだあと、だめもとで庭先に干しておいたのだが、悪いことに、夕立。
許せ、財布よ。
しかし、やってみるもんである。けなげにも、財布は甦った。
水をくぐり、雷雨に晒され、じりじりと照りつける日射しを浴びて、
ぐっと風格を増したようだ。
まさにニュージーランドの大自然にふさわしい、ワイルド・テイストではないか。
いとおしさに思わず頬ずりすると、ほのかに漂うキムチ臭。
アジアン・テイストも加わって、さらに愛着の逸品となった。
by mofu903
| 2011-07-29 23:01
| 日常